日本人の中途失明の原因のトップ、緑内障。目から入る情報を脳へ伝達する視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気です。通常は、発症すると見える範囲が徐々に狭くなるのですが、何らかの原因で眼圧が急激に上昇して発症する「急性緑内障」が起きた場合は、それと気付かぬまま放置した場合、わずか数日で失明へと至る可能性があります。ポイントは「いかに早く気付くか」ですが、頭痛や吐き気などを伴うため脳の病と誤解しやすく、厄介なのです。一体どうすれば大事にならないうちに気づけるのでしょうか。日本眼科医会の小沢忠彦副会長(小沢眼科内科病院理事長)に予防策も含めて聞きました。
伝えるべきは「頭痛」プラス「目の異常」
ある日の晩、食後の片付けをしていた80歳の女性を突如、激しい頭痛が襲います。こめかみから目の奥にかけて痛みが走り、吐き気も起きて視界がかすんでいったそうです。慌てふためくその姿に家族は救急車を呼びました。駆けつけた隊員は女性の説明から脳の病を疑い、脳神経外科のある救急病院へ搬送します。しかし、磁気共鳴画像化装置(MRI)や頭部コンピューター断層撮影(CT)などの検査をしても異常は見つかりません。急性緑内障と分かったのはその翌朝、目の症状から担当医が眼科医に診察を頼んだからでした。
それは「急性緑内障発生時の典型」だと、小沢副会長は説明します。
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